遭難要因をつぶそう

登山スクールご卒業おめでとうございます。

 前回のスクール記念誌では、敗退の決断について書かせていただきました。今年は、遭難要因を潰そうと言う事について書きたいと思います。

 時々、山岳遭難の話しを聞くと、悪い条件が色々重なって(なるべくして)遭難してしまったような事が言われている場合があります。例えば、仕事が忙しくて寝不足気味だった、天候も急に悪化して雨が降り出しスリップしてしまった、ヘッドランプの電池が切れてしまった、残雪で本来の道がわからなかった、明瞭な踏み跡がついていてそれを下ったら別な所へ行ってしまった等々、悪い条件が色々重なったために遭難してしまったと。

 でも、本当にそうでしょうか?水曜飲み会に行かずに残業していれば、金曜は早く帰れてゆっくり寝られたでしょう、電池の替えを常に持っていれば電池切れも起きなかったでしょう、読地図をしっかりしていれば明瞭な踏み跡が付いていても誤ってそちらに行ってしまう事はなかったでしょう、天気の急変は仕方ない事かも知れませんが、普段から雨の中歩く練習をしていれば、スリップしないで上手に歩けたでしょう。

 遭難の要因を潰して、楽しく安全な山登りをしてください。雨が降ったら、雪が降ったら、さぁ、喜んで、奥多摩の山へ行ってみませんか。

注)2004年度むさしの登山スクール卒業生に向けた、和名倉山の住人さんからの一言。